メールマガジン

岡田敏男事務所 メールマガジン 2025年11月5日発行

岡田 敏男

   新リース基準の概要

IFRS(国際会計基準)のリース基準が、2027年4月1日以後開始する事業年度から適用されることになりました。適用対象は、上場会社及びそのグループ会社を含む、会社法上の大会社は、強制適用される。未上場会社(中小会社)は、強制適用されません。
IFRS第16号リース基準のコンセプト
〇少額リースと短期リースの簡便的な取扱いが適用されるリースを除き、借手側は、単一のオンバランス(使用権資産とリース債務)会計処理する。
従来の借手側の賃貸借処理(オペレーティング・リース)は、廃止される。
なお、貸手側の会計処理は1部を除き大幅な変更はない。
〇新リース基準 イメージ図
貸借対照表 固定資産(使用権資産)、負債(リース債務)
損益計算書 使用権資産の減価償却費
   支払利息
〇リースの定義(要件)
 要件1 特定された資産 資産が特定されているか、通常は契約で明記されている
 要件2 特定された資産の使用を支配する権利を移転する、
〇実務の疑問 レンタルで借受している資産は、リース契約となることあるか。
 レンタル契約であっても、会計基準上のリースの定義を満たせば、リースとして処理。
〇リース期間
解約不能期間+合理的に確実な延長期間 で算定する。
〇使用権資産の減価償却
 所有権移転する場合 減価償却方法 自社の固定資産と同じ減価償却方法
           耐用年数  使用可能と予測する期間
           残存価額    合理的な見積額
 同上移転しない場合 減価償却方法  定額法等、実態に応じたもの
           耐用年数    原則としてリース期間
           残存価額    0円
〇新リース会計 設例 毎月リース料1,000円、リース期間3年、借手の追加借入利子率年6%
 使用権資産/リース債務 計上額は、リース料総額36,000円-利息費用3,924円
 1,000*36=36,000円  利息計算は別途説明3,924円 差引32,076円
仕訳 使用権資産32,076円 リース債務 32,076円
第1期決算仕訳
  支払利息 1,925円 リース債務 1,925円 32,076円*6%=1,925円
  減価償却費 1,069円 使用権資産 1,069円 32,076円*1/3
  リース債務 12,000円 現金預金 12,000円 リース料の支払額
〇借手のリース 表示
 使用権資産A法 自社で所有する固定資産科目に含め、表示科目ごとに注記
      B法 使用権資産で表示、表示科目別に注記
 リース債務 リース債務として表示するか、区分しないで、注記する。
 減価償却費 自社所有の固定資産減価償却費に含めて、科目別に注記
 支払利息  区分表示か、含まれている科目と金額注記する。
〇借手のリース 注記
 ①会計方針に関する情報
 ②リース特有の取引に関する情報
 ③当期及び翌期以後のリースの金額を理解するための情報
 開示目的に照らして重要性に乏しいものは省略できる。
〇 経過措置
 原則は、全面的に遡及、ただし、累積影響を初度適用日の利益剰余金に加減し、将来にわたって適用可能(修正遡及)

新リース会計を適用するための実務上の事前準備について、岡田敏男事務所所見
 2027年4月以後の会計年度から適用であり、概ね開始決算期の1年前位2026年3月期現在の賃貸借処理しているリース契約の一覧表等作成して、使用権資産/リース債務として計上すべきか、事前に会計監査人等と協議が必要か、また、リース契約以外の不動産の賃貸借契約書等で使用権資産/リース債務に計上すべか、否も検討する。
 さらに、現行の賃貸借処理額と減価償却費+支払利息との差額と営業利益、当期利益への影響額、貸借対象表総資産、純資産への影響額等の試算も必要になるか。

以上

事務所概要

事務所名
公認会計士・税理士 岡田敏男事務所
所長名
岡田 敏男
所在地
千葉県船橋市湊町2-12-12
T.O.ビル 4F
電話番号
047-434-1175
FAX番号
047-434-1176
業務内容
  • 法人税・所得税・消費税の申告書、各種届出書の作成
  • 譲渡、贈与、相続の事前対策、申告書の作成
  • 税務調査の立会い
  • その他税務に関する相談
  • 試算表、経営分析表の作成
  • 総勘定元帳の記帳代行
  • 決算書の作成
  • 会計処理に関するご相談
  • 経営計画、資金繰り計画の相談、指導
  • 各種書類の作成
メールアドレス
okada-tosio@tkcnf.or.jp
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千葉税理士会所属