岡田 敏男
新リース基準の概要
IFRS(国際会計基準)のリース基準が、2027年4月1日以後開始する事業年度から適用されることになりました。適用対象は、上場会社及びそのグループ会社を含む、会社法上の大会社は、強制適用される。未上場会社(中小会社)は、強制適用されません。
IFRS第16号リース基準のコンセプト
〇少額リースと短期リースの簡便的な取扱いが適用されるリースを除き、借手側は、単一のオンバランス(使用権資産とリース債務)会計処理する。
従来の借手側の賃貸借処理(オペレーティング・リース)は、廃止される。
なお、貸手側の会計処理は1部を除き大幅な変更はない。
〇新リース基準 イメージ図
貸借対照表 固定資産(使用権資産)、負債(リース債務)
損益計算書 使用権資産の減価償却費
支払利息
〇リースの定義(要件)
要件1 特定された資産 資産が特定されているか、通常は契約で明記されている
要件2 特定された資産の使用を支配する権利を移転する、
〇実務の疑問 レンタルで借受している資産は、リース契約となることあるか。
レンタル契約であっても、会計基準上のリースの定義を満たせば、リースとして処理。
〇リース期間
解約不能期間+合理的に確実な延長期間 で算定する。
〇使用権資産の減価償却
所有権移転する場合 減価償却方法 自社の固定資産と同じ減価償却方法
耐用年数 使用可能と予測する期間
残存価額 合理的な見積額
同上移転しない場合 減価償却方法 定額法等、実態に応じたもの
耐用年数 原則としてリース期間
残存価額 0円
〇新リース会計 設例 毎月リース料1,000円、リース期間3年、借手の追加借入利子率年6%
使用権資産/リース債務 計上額は、リース料総額36,000円-利息費用3,924円
1,000*36=36,000円 利息計算は別途説明3,924円 差引32,076円
仕訳 使用権資産32,076円 リース債務 32,076円
第1期決算仕訳
支払利息 1,925円 リース債務 1,925円 32,076円*6%=1,925円
減価償却費 1,069円 使用権資産 1,069円 32,076円*1/3
リース債務 12,000円 現金預金 12,000円 リース料の支払額
〇借手のリース 表示
使用権資産A法 自社で所有する固定資産科目に含め、表示科目ごとに注記
B法 使用権資産で表示、表示科目別に注記
リース債務 リース債務として表示するか、区分しないで、注記する。
減価償却費 自社所有の固定資産減価償却費に含めて、科目別に注記
支払利息 区分表示か、含まれている科目と金額注記する。
〇借手のリース 注記
①会計方針に関する情報
②リース特有の取引に関する情報
③当期及び翌期以後のリースの金額を理解するための情報
開示目的に照らして重要性に乏しいものは省略できる。
〇 経過措置
原則は、全面的に遡及、ただし、累積影響を初度適用日の利益剰余金に加減し、将来にわたって適用可能(修正遡及)
新リース会計を適用するための実務上の事前準備について、岡田敏男事務所所見
2027年4月以後の会計年度から適用であり、概ね開始決算期の1年前位2026年3月期現在の賃貸借処理しているリース契約の一覧表等作成して、使用権資産/リース債務として計上すべきか、事前に会計監査人等と協議が必要か、また、リース契約以外の不動産の賃貸借契約書等で使用権資産/リース債務に計上すべか、否も検討する。
さらに、現行の賃貸借処理額と減価償却費+支払利息との差額と営業利益、当期利益への影響額、貸借対象表総資産、純資産への影響額等の試算も必要になるか。
以上
| 事務所名 |
| 公認会計士・税理士 岡田敏男事務所 |
| 所長名 |
| 岡田 敏男 |
| 所在地 |
| 千葉県船橋市湊町2-12-12 T.O.ビル 4F |
| 電話番号 |
| 047-434-1175 |
| FAX番号 |
| 047-434-1176 |
| 業務内容 |
|
| メールアドレス |
| okada-tosio@tkcnf.or.jp |
| 千葉税理士会所属 |